音声認識 × CRM の Next ユニコーン 「Gong.io」
こんにちは。East Ventures のハミルトンです。
米国の CRM の市場規模は約3.6兆円もあり、2023年には4兆円になると言われています。
CRMとは、Customer Relationship Management の略で、顧客と良好な関係を構築し継続させ、売り上げを向上させる目的のものをいいます。Salesforceが市場のトップでシェア約17% 、Oracle や SAP がそれに続きます。
今回は音声認識× CRM でものすごい勢いを見せている米国の Gong.io についてご紹介したいと思います。
Gong.ioのサービス
創業のきっかけ
資金調達
ポップなブランディング
Gong.ioのサービス
音声認識を活用して、営業の①効率/②成約率を上げる SaaS CRMです。
①効率を上げる
電話や Zoom、その他ビデオ会議やメールなどで営業した会話を自動的に記録、分析し、CRM に送信します。
音声認識によって入力なしで管理できるので、大幅に手間が削減されます。また、従来のように手動で行うと、各営業担当で解釈や入力に偏りが生まれてしまいます。Gong を使えば AI が分析、判断してくれるのでその心配もいりません。
②成約率を上げる
Gong は普通営業マンをスタープレイヤーに格上げさせるそうです。
全ての会話を録音、分析した後、営業担当それぞれにカスタマイズされたフィードバックと詳細に落とし込まれたタスクが与えられます。それをこなしていくことで優秀な営業人材を自動的にクローン化させることができます。
また、誰がどんな発言をしたのか、検索ワードで洗い出すこともできます。
音声認識によって会話の内容にタグがつけられているので、例えば「competitor (競合)」と検索すると、競合の名前を発した時の会話にすぐにたどり着けます。相手が競合の名前を発言した時の会話をリプレイして、顧客がどういった課題を抱えているかなどを簡単に探し出すことができます。
この機能は営業担当やマネージャーも使えますし、開発や戦略部門の人も大いに活用できると思われます。
創業のきっかけ
2015年に設立された Gong.io は、CEO Amit Bendov のこれまでの仕事の中で感じてきた課題がきっかけで生まれました。
Amitは、SiSense(現在ユニコーン)で CEO として、Panaya では CMO としてSaaSのスタートアップを成功させてきた経歴の持ち主です。
これらのスタートアップをゼロから営業して成長させて行くときに、各営業担当が現場で実際に何を行っているのかがわからず、営業の実態の把握には入力されたCRMや報告などの二次情報に頼るしかありませんでした。
これでは効率的に営業現場の改善を行うことができない、という、そんな課題を解決したのがこちらのサービスです。
Gongを使えば、偏りのない一次情報に誰でもアクセスできるようになり、マネジメント側も正確に把握、管理でき、セールス側も自分の状況やうまくいっている他の社員のやり方を知ることができます。
資金調達
2019年12月に Sequoia Capital をリードに6500万ドルの調達を受けてシリーズCを達成しています。
2018年の収益は5倍、2019年の収益は3倍に増加しており、急成長を遂げています。提供先はGE、Hubspot、LinkedIn など様々な業界の大手企業を筆頭に700社以上。
Sequoia のパートナー、Carl Eschenbach によると「この急成長は、これまでの CRM では実現できなかった広範なニーズを捉えたことによるものであり、この会社のプラットフォームは CRM の次なる大きな進化になるだろう」と述べています。
こちらの前に行われたシリーズBは同2019年の2月に Battery Ventures らから4000万ドルの調達を受けていて、勢いの良さが伺えます。
この時の記事によるとリリースされてからのチャーンはほぼゼロで、驚異的な数字です。
ちなみに、前職の SiSenseも Battery Ventures からはシリーズB ~シリーズF まで投資を受けています。
ポップなブランディング
Gong のサイトを見るとまず感じるのが、とてもハイテンションな雰囲気。
「優秀な営業人材をクローン化させる」というとすごく資本主義で闇な感じに聞こえますが、Gong はゲーム感覚の UI で営業担当者がむしろ自分の仕事にのめり込めるような作りになっています。
ゲーミフィケーションされた UIUX & モバイルに慣れ親しんだミレニアル世代/Z世代が営業をモバイルアプリでも管理できるようになっています。
ゲーム感覚で仕事がうまくいって、スーパー営業マンになれたら楽しいですよね。営業する側も雇用する側もハッピー!
ゲーム感覚で営業トークを攻略できるなんて、私もちょっと使ってみたいと思ってしまいました!
日本でも NTT や野村総研、富士通などの大手が音声認識 × CRM には参入していますが、そのほどんとが大企業の CS などのオペレーター向けのものとなっています。現在、営業で使えるサービスを提供するスタートアップも出現してきていて、SFA の面でも音声認識の活用が広がっていくと思われます。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
事業壁打ちや起業の相談、お茶、いつでもお待ちしております!
(Twitter: はみるとん)